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2008年1月26日 (土)

ある家庭医の物語

これは、寓話です。ノンフィクションではありませんので、

登場人物等に類似することがあったとしても、あくまでも

「寓話」としてお読みください。

ある街に、「家庭医」というお医者さまがいました。

ちょっとした身体の異常の相談を受けることもあるし、必要

があれば検査をして、「専門医」への橋渡しをする、というの

が「家庭医」の仕事でありましたとさ。

「家庭医」の評判は、特に良くも悪くもなく、街の人々は「家庭

医」のクリニックに通院していたのでした。

その街に住む「男」も、これまでも「家庭医」の所に通院して

いたので、今回も体調不良(尿の色が濃い)を感じてすぐに

「家庭医」のところに行きました。

「家庭医」は、尿検査だけをして、尿に異常はない、何も問題

ないと男に告げました。

その3日後、「男の妻」は、どうしても「男」の顔が黄色いように

感じ、頼むから、明日、大きな病院に行って欲しいと「男」に

言いました。

「男」は、いつも通り、都会の真ん中にある会社に働きに行き

ましたが、「妻」の言葉が頭に残っていたので、会社にいる

「産業医」というお医者さまに相談してみました。

「産業医」は、「男」を一目見るなり、近くの大きな病院に送り

込み、大きな病院のお医者さまたちは、大急ぎで尿検査と血液

検査をしてくれた結果、「男」に「いつ急変してもおかしくないぐら

いの重症だ」といって、「男」を緊急入院させました。

「男」は、そのまま都会の大きな病院でさまざまな検査を受け、

病気の内容がわかりました。

治療には長い期間かかるので、「男」の住む街にある、大きな

病院に入院して治療を受けることになりました。

皮肉なことに、最初に行った「家庭医」のクリニックと、治療を

受けることになった大きな病院は、目と鼻の先でした。

その後、「家庭医」のホームページを見た「男の妻」は、それまで

は、「家庭医」のことを怒ったり、恨んだりしてもしかたがないと思

っていたのですが、家庭医のホームページに書かれた一言を見

て、怒りのあまり、血液が沸騰して逆流し、めまいをおこしました。

ホームページにはこう書かれていました。

「なんの異常もないのに、異常があるはずだ、と訴えて納得しない

人がいて、そういう人のために、ほんとうの病気のために来てく

れた人を治療する時間が不足する。」

これは、寓話です。

「家庭医」とは何か、どうあるべきか、「家庭医」が見落としては

ならないことは何か、「家庭医」が陥ってはいけない罠とは何か。

「男の妻」は、誹謗中傷にはならないように、事実だけを、しかし

はっきり実名で、街中の主だった人々に伝えてまわったとさ。

どんとはれ。

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コメント

日本昔話に出てきそうないいお話です。
人は、現状(地位や位置)に満足したら、そこで終わってしまう。
その家庭医には、当てはまることなのでしょうね。
おそらく医師になりたての時は、
「どんな患者でも助けたい」って思ってたことでしょう。
そして、どんなに小さなコトでも、患者に目を向けていたでしょう。
しかし、いつも間にか奢るようになってしまって
「井の中の蛙」になってしまったんですね。。
もう、奢り出したら、大きいコトしか目に入らない。

奢ってしまう性格は、
この医者に限らず人間誰しも持ってるんでしょうけど、
それに負けない意志をしっかり持つことが大切ですね。

 「今の自分」って、どうなんだろう?
 周囲の気持ちを感じているだろうか?
 「過去の自分」が理想としていた姿なんだろうか?

見つめ直すことって、つい忘れがちだし、面倒で目を背けがちですが、
大切なコトであり、とても素敵なコトであると思います。
「男の妻」の行動は、きっと「家庭医」に届くことでしょう。
家庭医自身、「気にしないか、後悔するか」はわかりませんが、
患者の声がいつか届くことでしょう。

投稿: ひろ | 2008年1月29日 (火) 12時25分

ひろさん
コメントありがとうございました。
私は、医師の友人が多いので、医師仲間から家庭医の耳には確実に声は届くであろうと思っています。直接、話に行っても良い、と一時思ったのですが、たぶんないとは思うものの、万が一、自分が感情的になるようなことが起きるといやだったのでやめました。
17年前、クリニック開業されたばかりだったころの「家庭医」は、もう少し患者の話に耳を傾ける医師であったように思います。やはり、なんとか、過去の自分、家庭医を極めたいという理想をもっていたころの自分を、振り返ってみてくれることにつながればよいが、と願うばかりです。

投稿: ととろ | 2008年1月31日 (木) 00時31分

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